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読売新聞(ヨミドクター) 11月16日(水)16時47分配信
2010年度に愛媛県内の家庭や周辺で起こった高齢者に対する虐待は220件で、4年ぶりに前年度(231件)を下回ったものの、依然高水準にあることが県のまとめでわかった。
死亡したケースも1件含まれており、県は介護者の介護疲れが一因と分析。「ストレスを一人で抱え込まずに相談を」と呼びかけている。
■介護疲れ一因、死亡例も
各市町への通報は291件。うち220件で虐待があったと確認された。内訳(重複あり)は、たたくなどの「身体的虐待」が137件、暴言を吐くなどの「心理的虐待」が86件、年金や貯金を取り上げるなどの「経済的虐待」が56件、「介護放棄」が53件などだった。
虐待された高齢者は231人で女性が78%を占め、全体の7割強に当たる164人が介護保険で要支援1以上の認定を受けていた。虐待者は225人。息子が107人で最も多く、夫47人、娘27人と続いた。
通報者は、要介護者のケアプランを作成するケアマネジャーや介護ヘルパーらが7割強。居住地の地域包括支援センターが高齢者を施設に入居させ、虐待していた家族と引き離したり、家族らにカウンセリングをした上で、負担を減らすために要介護認定を見直して介護サービスを利用できる回数を増やしたりするなどの措置をとったという。
県長寿介護課によると、虐待を受ける高齢者は認知症のケースが多いといい、07~10年度に伊予、八幡浜、四国中央、宇和島各市を認知症高齢者や家族の支援モデル地区に指定、今年度以降も各自治体で支援体制づくりが進められている。
宇和島市では65歳以上の高齢者が2万6364人(今年2月1日現在)で、うち12%の3240人が認知症。家族や地域の認知症への理解不足や偏見、専門医の少なさ、相談窓口が周知されていないなどの課題があるという。
このため、高齢者が徘徊(はいかい)で行方不明になった際、スーパーなどに本人の特徴をメールで一斉に伝えて捜してもらう仕組みや、家族らが認知症高齢者への接し方などを学ぶ講習会の開催、家族の集いの場を設けるなどの対策に取り組んでいる。
同課は虐待件数が減らないことについて、「高齢者虐待への関心が高まり、通報が増加傾向にあることも理由」とし、「高齢人口はさらに増える。市町と連携して高齢者を守る態勢を強化したい」としている。