遺言書の必要性と書き方、相続、認知症問題のご相談を通じて、適切な財産管理と、亡くなった後の財産を巡る紛争を未然に防ぐための、情報提供を目的としています。

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相続人なく遺産漂流 国へ603億円、少子高齢化時代反映

令和3年2月4日
産経新聞 引用

 

財産を残して死亡したものの相続人がおらず、換金の末に国が引き取った遺産の額が昨年度は603億円に達し、わずか4年の短期間で約1.4倍に急増したことが4日、最高裁への取材で分かった。少子高齢化の影響とみられる。遺産を残した人の思いとは裏腹に、国による「相続」を阻もうとした身内が、遺言書を偽造するなど不正に手を染めるケースもある。自らの死後、誰に何をどれだけ渡したいのか。早めの相続準備が求められている。

 

●4年で1.4倍に

 

故人が遺言書を残さず死亡した場合、民法の規定に基づき、遺産は「法定相続人」が分割で相続する。配偶者は常に相続人となり、ほかの血族については子、孫、親などの順で相続。兄弟姉妹が死亡していれば、その子に当たる甥(おい)や姪(めい)にも相続権があるものの、遺言書がある場合を除き、いとこを含む遠縁の親族には権利がない。

 

相続人が存在しない遺産については、行政機関などの申し立てを受け、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が整理。法定相続人のほか、内縁の妻や、介護を続けた「特別縁故者」がいないことを改めて確認し、不動産などは現金化した上で国庫に入れる。ある法曹関係者は「少子高齢化を背景に、身近な親族や晩年の世話をしてくれる人がいないまま亡くなる人は増えている」と説明する。

 

最高裁によると、相続人不在で国が「相続」した遺産の金額は、右肩上がりで増加。平成27年度は約420億円だったが、30年度は過去最高額の約627億円に。昨年度は約603億円と前年よりもわずかに減少したものの、対27年度比で約1.4倍に増えた。

 

●遺言書偽造も

 

故人が遺言書を残していれば、法定相続人以外の人でも遺産相続は可能だ。このため、遺言書の偽造トラブルが後を絶たない。

 

関係者によると、兵庫県内で法律事務所を営んでいた40代の元男性弁護士は昨年初め、亡くなった大阪府内の女性が残した約2億円の遺産を相続できないか、との相談を女性のいとこから受けた。

 

元弁護士は「(故人の)全財産をいとこに包括遺贈する」とした文案をいとこに示し、いとこが女性の筆跡をまねた手書きの遺言書を実際に偽造。昨年5月に大阪家裁に提出し、相続できるようにした。

 

ところがその後偽造が疑われ、県弁護士会の調査に元弁護士は不正を認めた。「遺産をいとこに遺贈させた方が故人の遺志を反映できると思った」などと説明したが、元弁護士は、有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴され、同11月に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。

 

●「元気なうちに」

 

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「50歳時での未婚の割合」によると、平成27年で男性は23.37%、女性は14.06%と、それぞれ過去最高を更新。このデータは生涯未婚率とも呼ばれる。

 

同省の推定では、生涯未婚率は今後さらに上昇し、法定相続人がいないまま亡くなる人の数も増えるとみられる。

 

電話相談を受け付ける大阪弁護士会「遺言・相続センター」の蝶野弘治弁護士によると、昨年は、新型コロナウイルスに感染し命を落とすといった不慮の事態に備え、遺産分割や遺言書作成の方法を尋ねる高齢者の相談が特に目立ったという。蝶野弁護士は「残された財産をめぐって遺族同士が相争い、関係が悪化する例は少なくない。遺言書を残すなどして、元気なうちに『終活』に向き合うことが大切だ」と話している。

 

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