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《読売新聞5月10日配信》
依頼者の預かり金を不正流用したとして福岡県弁護士会の調査を受けていた弁護士が10日、福岡地検に詐欺容疑で逮捕される事態になった。
弁護士による預かり金着服などの不祥事は全国で相次いでおり、識者からは、法曹界に不正が起こりにくい仕組み作りを求める声も出ている。
逮捕されたのは、福岡県弁護士会に所属する高橋容疑者(51)(福岡市中央区)。
逮捕を受け、同弁護士会の古賀和孝会長は「誠に遺憾。弁護士全体に対する国民の信頼を失いかねない状況に至っていることを深く自覚し、重く受け止めている。再発防止策の検討を急ぎたい」とのコメントを出した。
高橋容疑者を巡っては、福岡地裁が3月、自己破産手続きの開始を決定していた。破産管財人によると、私的な借金を合わせた負債総額は3億5226万円で、うち2億5470万円は民事訴訟の着手金や訴訟相手に支払うために預かった賠償金など依頼者への負債という。
このほか、高橋容疑者に民事訴訟の提訴を依頼した人が昨年、福岡地裁に訴訟の進行状況を問い合わせたところ、訴状が受理されていないことが判明。同地裁は2月、依頼者が持っていた訴状に押されていた受付印は偽造された疑いがあるとして、容疑者不詳のまま福岡県警に有印公文書偽造、同行使容疑で刑事告発していた。
弁護士による刑事事件としては、東京弁護士会所属の元弁護士が3月、和解交渉金約600万円を着服した容疑で警視庁に逮捕された。愛知県内の弁護士も昨年6月、成年後見人になった男性の口座から1510万円を引き出したとして業務上横領などの疑いで名古屋地検特捜部に逮捕されている。